東北電力が9月の再稼働を目指す女川原子力発電所2号機の安全対策工事完了後、原発構内の状況が初めて公開されました。
女川原発2号機の安全対策工事は、東日本大震災後に耐震、津波対策、電源の確保など国の新しい規制基準に沿って行われ、2013年5月から始まり5月27日に全ての工事が完了しました。
新田智紀記者「10年以上かけて建設された防潮堤は、現在想定されている津波を防ぐため高さは海抜29メートル、横幅は約800メートルにも及びます」
公開されたのは、津波を防ぐための防潮堤や逆流する海水対策の防潮壁など10カ所です。
福島第一原発の事故を受けて設置が求められた、停電後も蒸気の力で原子炉を冷やす水を送ることができる装置も公開されました。 東北電力は、女川原発2号機について9月の再稼働を目指しています。
女川原子力発電所阿部正信所長「安全確保を大前提に1つ1つのプロセスにしっかり対応して、13年ぶりとなる再稼働に全力を尽くしてまいりたい」
女川原発2号機の再稼働に向けてのスケジュールです。
7月からは使用済み燃料プールで保管している560本の燃料を原子炉に入れる燃料装荷を行います。
燃料を入れた後、原子炉の圧縮容器や格納容器に問題が無いかを確認します。問題が無ければ9月には原子炉を起動し発電する再稼働に入ります。
その後、最終的な安全確認のため一時的に原子炉を停止し10月中に発電と送電を再開し営業運転する計画です。
東北電力は今回の再稼働に向け、情報公開の基準も示しています。
これまでは不具合が発生した場合、事案の重要度に応じて情報を公開する時期を決めていましたが、燃料を入れてからは毎週金曜日に、原子炉を起動してからは毎日、作業の予定や実績を公表するとしています。
女川原発2号機は、事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型と呼ばれる原子炉です。再稼働すれば東日本大震災で被災した沸騰型の原発として初めてとなります。
東北電力は「引き続き安全確保を最優先に、1つ1つのプロセスにしっかりと対応し、地域の皆様に取り組みを丁寧にお伝えしながら、再稼働に向けて全力で取り組んでいきます」としています。
再稼働に向けて準備が進む中、女川原発2号機の原子炉建屋内の点検中に非常用装置が作動するトラブルがありました。放射制物質の流出は確認されていないということです。
東北電力によりますと12日午後7時半ごろ、女川原発2号機の原子炉建屋内で点検作業中に空調が停止し非常用の装置が作動しました。
非常用装置は、放射性物質を検知した際に空調を停止させると同時に作動し空気圧を下げて漏洩を防ぎますが、モニタリングポストの値に変化は無く、外部への影響は無いということです。
空調が停止した理由について東北電力は「現在調査中」としています。