企業の賃上げを促進するための減税制度が、実際には必要以上に減税できるものとなっていることに加え、賃上げへの効果も検証されていないことが会計検査院の指摘で分かりました。

 政府は、賃上げを促すために従業員への教育訓練費を増やした企業に対し、法人税の一部を減税する制度を2018年度から設けています。

 しかし、会計検査院が調べたところ、およそ8割の企業で教育訓練費の増加額以上が減税されていて、なかには教育訓練に支出した額の数十万倍以上が減税されていた企業もありました。

 会計検査院の試算では157億円が過大に減税されていたことになり、賃上げを促す減税措置として「適切なものとなっていない恐れがある」と指摘しています。

 経済産業省などは、この制度による賃上げの効果も検証していませんでした。

 経済産業省は「今後、検証に必要なデータの整備や分析方法の精査など、さらなる取り組みが必要だと考えている」としています。