ドイツ連邦議会は31日、移民の流入を制限する法改正案を否決しました。2日前に最大野党と極右政党が協力して移民政策を巡る決議が可決され、批判が相次いでいました。

 ドイツ連邦議会は31日、移民が家族を国内に呼び寄せることを制限したり、国境で不法移民を拘束することを容易にしたりなどを定めた改正法案を(賛成338票、反対350票、棄権5票で)否決しました。

 2日前には最大野党で中道右派の「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が提案した移民政策の厳格化を政府に求める決議案に、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が賛成して可決しました。

 ナチス政権の反省からドイツでは戦後、主要政党が極右政党と協力することは「タブー」とされてきました。

 31日に採決された改正法案は決議とは異なって法的拘束力があり、極右政党の「Afd」との協力にドイツ全土で抗議デモが行われ、「CDU・CSU」からも造反者が相次ぎました。

 ドイツでは不法移民関連の事件が相次いでいて、来月23日に予定されている総選挙では移民対策が最大の争点の1つです。

 公共放送の世論調査では、CDU/CSUが約30%の支持率で1位で、AfDは約21%の2位。

 ショルツ首相が率いる中道左派の与党、社会民主党(SPD)は約16%で3位となっています。