5月10日に宮城県が公表した最大級の津波が発生した場合の浸水想定は、防災対策を担う自治体にも衝撃を与えました。
khbが宮城県沿岸の15自治体にアンケートを行ったところ、14の自治体が「避難計画の見直しなど対策が必要」と答えました。
アンケートは、khbが県沿岸部の15自治体を対象に行ったもので、全ての自治体から回答がありました。
県が公表した想定では、最大級の津波が最悪の条件で発生した場合、東日本大震災の1.2倍の地域が浸水するとされています。
この想定を受け、避難計画の見直しなど「何らかの対策が必要か」を聞きました。
対策が「必要」と答えたのは14自治体。利府町だけが「現在の避難計画と大きな違いがないため必要ない」と答えました。
必要と答えた自治体に何が必要かを聞いたところ「避難計画などの見直し」が7自治体。「ハザードマップの見直し」が8自治体などとなりました。
今回の浸水想定に携わった東北大学の今村文彦教授は、ほとんどの自治体が避難計画などの見直しが必要と回答したことを評価します。
今村文彦教授「早速検討していただいているということで、非常に望ましい状況だと思う。一から対策を見直してというのでは無いんですね。今まで対策があり計画があるので、それを一段高くしていただきたい」
次に復興や街づくりに影響を与えるか聞いたところ「与える」が4自治体、「与えない」が7自治体、「分からない」が3自治体でした。
理由について「影響を与える」と答えた自治体は「定住化施策や企業誘致活動に影響を及ぼす可能性がある(東松島市)」「市役所が浸水域に入るなど、公共施設の配置の検討が必要(塩釜市)」などと答えました。
一方「影響を与えない」と答えた自治体は「不足分はソフト面で対応できる(山元町)」「高台移転がないため(多賀城市)」などとしています。
また「国や県に要望があるか」を聞いたところ、南三陸町を除いた14の自治体が「ある」と答えました。
具体的には、避難場所の設置などに掛かる財政支援と答えた自治体が12自治体。「より詳細なデータを早く示してほしい(松島町」)といった意見もありました。
今村文彦教授「施設の改修であったり移動が伴う場合があると思います。そのためには、単独の財政では厳しい状況もあります。ぜひ、県または国で支援していただきたい」
最後に「今回の公表について率直にどんな感想を持ったか」を聞いたところ「発表まで10年以上、遅すぎる(山元町)」といった不満や、「単に不安をあおるだけにならないか(多賀城)」といった疑問の声が出た一方で「大きな被害をもたらす可能性があれば、住民に公表することに妥当性はある(利府町)」と評価する意見もありました。