電気料金の高騰について専門家は、宮城県を含む東北の経済を衰退させかねない深刻な問題と指摘し、危機感を示しています。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「電気料金の元となっている電源を構成しているエネルギー源『LNG』などの価格は依然として高止まりしているということや、それを踏まえて4月から電力料金の規制料金の申請がされているということで、電気料金はむしろ今後上がる方向にいくということが考えられます」
地域経済が専門で七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友首席エコノミストは、宮城県の企業が消費する電力の負担額は2015年と比べ年間で58.7%増加していると試算します。
業種別にみると、宮城県の企業で電力消費量が最も多いのは製造業で年間で741億円、次いで小売業が296億円などとなっていて、製造業が全体の3割を占めています。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「電気料金高騰による企業の負担ですが、2015年の同じ消費量で2022年12月時点の電力物価が続くと仮定しますと、だいたい年間で1308億円の負担の増加と。これは宮城県のGDPの1.4%に相当する非常に大きな金額だということで、製造業にとっては他にも原材料の値上げですとかさまざまな仕入れに関する価格が上がっていると、かなり収益を圧迫することになると」
この電気料金の値上がりには電源構成によって地域差があり、火力発電比率の高い東北電力管内は全国的に見て値上がり幅が大きいのが現状です。
これについて田口さんは、地域経済を衰退させかねない深刻な問題だと指摘します。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席「これだけ生産コストが上がると、例えば企業誘致をする上でも足かせになると。それだけではなく、既存の工場にとっても生産コストが高くなることによって撤退や移転したりすることが考えられまして、そういったことが地域経済の衰退につながりかねない状況だと思います。政府や自治体の何らかの支援によって、この地域差であったり競争力の低下というのを防ぐ必要があるのかなと思います」