2019年の台風19号で豪雨被害を受けた宮城県丸森町では、被災者向けの災害公営住宅が全て完成し暮らしの環境が整う一方、町民の流出に拍車がかかるなど新たな課題に直面しています。
7月に完成した被災者向けの災害公営住宅には、仮設住宅から20世帯が入居しました。
災害公営住宅の完成により、被災者向け住宅の整備は全て完了しました。
9月に災害公営住宅に移った今野けい子さんです。4年前の豪雨で町内の自宅が全壊しました。
今野けい子さん「何て言ったらいいか分かんなかったね。家の周り石垣積んでたんですけど、石垣も全部倒されてて。ベッドとか布団、冷蔵庫とか、あと洗濯機を新しく入れたのも全部駄目」
家族2人で4年間、プレハブの仮設住宅で小さなちゃぶ台を囲んで暮らしてきました。
今野けい子さん「こんな生活あるのかしらと思うくらい狭かったね。それでもとにかく住まいができたっていうのはありがたいですよ。寒い季節だもの」
今野さんは感謝を口にする一方、災害後に知人が町外に移った寂しさも感じています。 今野けい子さん「まだここによく馴染めないけど、こんな立派な家、部屋建ててもらって感謝ですね。知り合いも災害に遭って角田市とか亘理町にアパート借りて。行った人が戻って来ないのが一番寂しいよね」
災害後、プレハブなどの仮設住宅に入っていた住民のうち、計48世帯が町外へ住まいを移しました。
高齢化に加え、一度外に出た住民が戻って来ない現実に直面しています。
保科郷雄丸森町長「将来的な人生設計や家庭設計を決めた時には、丸森町に住むということについては不安がある、あるいはここでは(住めない)ということもあっただろうと思います」
町は今後、心のケアを含めた生活の再建に重点を移し住民を呼び戻せる町づくりを進めていく方針です。