大阪地検特捜部に逮捕され、無罪が確定した不動産会社の元社長が国に7億7000万円の損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は請求を退ける判決を言い渡しました。

 不動産会社の元社長・山岸忍さん(62)は2019年、学校法人の土地取引を巡り、手付金を横領したとして大阪地検特捜部に逮捕・起訴されました。

 取り調べ記録には田渕大輔検事が山岸さんの元部下を怒鳴り続ける場面が残されていました。

 大阪地裁は元部下の供述の信用性を否定して山岸さんに無罪判決を言い渡し、確定しました。

 山岸さんは国に7億7000万円の賠償を求めて提訴し、国側は逮捕・起訴の判断は不合理ではないと反論していました。

 判決で大阪地裁は捜査段階の判断が不合理とはいえず、逮捕・起訴に「国家賠償法上の違法があったとみることはできない」と指摘。山岸さんの訴えを棄却しました。

敗訴後の山岸さん 「(敗訴は)想定外で、ちょっと困惑しているんですけども、裁判所は検察官の違法行為を擁護している」

 山岸さんは控訴する方針です。

 また、田渕検事については大阪高裁が去年、特別公務員暴行陵虐罪で刑事裁判を開く「付審判決定」を出しています。