このゴールデンウイークは、津波で被災した仙台市や名取市の沿岸部もにぎわいました。仙台市の沿岸部には、4月に回遊型観光の創出を目指し、「アクアイグニス仙台」がオープンしましたが、その回遊型観光はどの程度実現できたのでしょうか。取材しました。
5月1日、ゴールデンウイーク真っただ中のアクアイグニス仙台は、県の内外から多くの客が詰めかけ、にぎわっていました。
栃木からの帰省客「震災後に何も無くなった所にできて活性化される。いろんな買い物ができるのが魅力的」
津波被災地のにぎわい創出を目指す「アクアイグニス仙台」
「アクアイグニス仙台」は、津波被災地のにぎわい創出を目指し、温泉や食事、買い物を楽しめる複合施設として集団移転跡地に整備され、4月21日にオープンしたばかりです。
大きな目標に掲げたのは、仙台や周辺自治体の沿岸部一帯に「回遊型」の観光を生み出すことです。
「アクアイグニス仙台」の周辺には、「フルーツパーク仙台あらはま」や「かわまちてらす閖上」、「名取市サイクルスポーツセンター」など多くの観光施設があります。
これらの施設を観光客に回ってもらい、津波で被災した沿岸部を活性化させようという考えです。
今年は3年ぶりに移動制限が無いゴールデンウイークとなりましたが、回遊型観光はどの程度実現したのでしょうか。
「回遊型」観光で沿岸部を活性化へ
こちらは、「アクアイグニス仙台」から約5キロ離れた「フルーツパーク仙台あらはま」です。
1年を通じて季節のフルーツの摘み取り体験ができる施設で、今の時期はイチゴ狩りが体験できます。1日の上限は70人ですが、この連休は連日満員となり、にぎわったということです。
移動制限が無かったことが大きな要因とみられますが、関係者は「アクアイグニス仙台」の存在も大きいとみています。
フルーツステーション 設楽真美店長「アクアイグニスの方でもお買い物したいということで行き方聞かれたり、皆さん周遊されているのかなという感じはする。とてもありがたい。この沿岸部を一緒に盛り上げていきたい」
「フルーツパーク仙台あらはま」連日満員
こちらは「アクアイグニス仙台」と川を挟んで対岸にある「かわまちてらす閖上」です。飲食店や土産物店など27店舗が入っていて、2021年と2020年のゴールデンウイークの集客は、感染拡大前の半分ほどでした。
しかし、今年は山形や福島など近県からの観光客が戻り、感染拡大前に迫る盛況ぶりです。
訪れた人「あっちの猿田彦珈琲とかにも行こうかなと思ってます。東北で初めてじゃないですか、だから気になって」
「(アクアイグニスに行ったら)ランチはもう終わっちゃって、和食の方もイタリアンの方も。どこもかしこも並んでいたので、車で近いということでここに来ました」
かわまちてらす閖上 松野水緒常務「去年、おととしとは比較にならないくらい、たくさんの方が訪れてくださっています。アクアイグニスに来たついでに、かわまちてらすも寄ってみようという方がたくさんいらっしゃるように思います」
回遊型観光を実現するため、「かわまちてらす閖上」と「アクアイグニス仙台」は、互いの施設で使えるクーポン券を配布。これが功を奏したということです。
「かわまちてらす閖上」近県から観光客戻る
「アクアイグニス仙台」を運営する会社側も予想以上の効果があったと評価しています。
仙台reborn 深松努社長「予想以上にお客さんにお越しいただいている。エリア全体で盛り上げようという話をしていたが、その通りになってうれしく思っている」
一方で、深松社長はこのにぎわいを維持するためにも、それぞれの施設が連携して観光客が回遊する魅力的なプランを練り上げていく必要があると今後の課題を挙げています。
今後は、夏休みシーズンに向けて宮城野区の「仙台うみの杜水族館」や「三井アウトレットパーク仙台港」も巻き込んだキャンペーンやスタンプラリーなどを計画したい考えです。
仙台reborn 深松努社長「お客さんが気軽にそれぞれの施設を行き来できるような仕組みをみんなで考えていこうと思っています」
「アクアイグニス仙台」では、地下鉄東西線の荒井駅から無料でシャトルバスを運行していますが、今後は近隣の観光施設にもバスが停まるよう検討を進めています。