政府は新型コロナの感染症法上の分類につい、て現在の2類相当からインフルエンザ並みの5類へ春にも引き下げる検討を本格的に始めました。新型コロナの発生から3年。専門家は、新型コロナの位置付けの変更をどのように分析しているのでしょうか。

 岸田総理は、新型コロナの感染症法上の扱いを現在の2類相当からインフルエンザと同じ5類へ、春にも引き下げる方針を示し本格的な検討に入りました。

 23日、厚生労働省の専門家による会議で議論され5類への引き下げに対しおおむね肯定的な意見が寄せられました。

 感染症が専門の長崎大学大学院の森内浩幸教授は、この春のタイミングの引き下げについて現在の感染の傾向からもっと前の段階から議論が必要だったと話します。

 森内浩幸教授「だいぶ前からもう2類相当の縛りというのは、現状にそぐわなくなっていると思います。オミクロンになって間もなく、既にその段階から5類相当にする議論はすべきだったし、引き下げはとっくの昔にしておくべきだった」

 現在、新型コロナの診断や治療は、感染症に対して特化した指定医療機関や協力医療機関に限られます。

 5類になれば、全ての医療機関で対応することになります。

 森内教授は、社会全体ではウィズコロナの考えが浸透しつつある中、医療機関だけにゼロコロナを求める風潮があるとして、一般の医療機関が患者を受け入れにくい恐れを懸念します。

 森内浩幸教授「5類にすればそれで解決というわけでは全然なくて、全ての医療機関で診るようにしますと言っても診てくれないかもしれない。病院でもしクラスターが起こったら、いまだに許せないという雰囲気になっています」

 コロナにかかった場合の治療費やワクチン接種は現在、全額国の税金で負担されていますが、5類になれば一部は自己負担になる可能性があります。

 森内浩幸教授「リスクの高い人やリスクの高い人たちに関わる人たちだけが行うワクチンというだけで良いと思います。今後の対応策としては、本当に必要な人にだけワクチンを国が補助して接種をしていくという形だと思う」

 気になるのが、この3年間着けるのが当たり前になったマスクについてです。

 法律では定められていませんが今後、国としてどのような方針を出すのかに関心が集まっています。

 森内浩幸教授「自分自身、自分の家族が感染した場合どういう風な状況にあるのかを考えて判断すべきではあって、みんなが一様にマスクをするんだしないんだという風になるのは間違いだと思います」

 森内教授は、新型コロナのウイルスは変異を続けているため今回の引き下げで終わりではなく、今後また病原性の高いウイルスが出た場合には厳しい措置に戻せることが必要と指摘します。

 森内浩幸教授「今のフェーズは5類相当で対応すべきフェースだと思いますけれども、次にまた変わった時、もしかしたら政府が5類相当にすると言っている5月くらいには全く新しい変異株によって全然違う局面になっているかもしれない。大きく法律を変えなくても、今一旦5類相当に引き下げたとしてもまたすぐに2類相当に戻せるような運用をしていけば良いことかと思います」