アメリカの新しいトップにトランプ大統領が再び就任しました。トランプ政権では輸入品の関税強化や円安の懸念がくすぶり、宮城県の企業も身構えています。

 トランプ大統領「今この時、アメリカの黄金時代が始まります」

 21日に就任したトランプ大統領は、就任演説で「直ちに貿易システムを見直す。外国に関税や税金を掛けることで、国民を豊かにする」などと語りました。

 宮城県石巻市の水産加工会社は、アメリカ向けにホタテの貝柱を冷凍して輸出しています。

 千葉賢也社長は、トランプ政権による関税強化の影響を懸念しています。

 ヤマナカ千葉賢也社長「輸出産業における影響は大きいかなと思っています。それがどの辺りにどの程度かというところを、しっかり深く考えていく必要があるんじゃないかと思っています」

 ホタテの貝柱は、日本食ブームもあってアメリカで売り上げを伸ばしてきました。

 トランプ政権でドルに対して円安が進めば、輸出には有利である一方、仕入れコストの増加が気掛かりだといいます。

 ヤマナカ千葉賢也社長「原料を仕入れするまでの燃料費だったり、経費の部分にまた影響が大きくなるのではないかなというところを懸念しています」

 千葉社長はリスク軽減のため、アメリカ以外にも販路を拡大したい考えです。

 トランプ政権復活の宮城県経済への影響について専門家は、原油価格の低下が好材料となる一方、不透明な関税強化や為替相場が今後のリスクになると指摘します。

 トランプ大統領「だからこそきょう、国家エネルギー緊急事態を宣言する。我々は掘る、ベイビー、掘るんだ」

 トランプ大統領は、就任演説で物価を引き下げるためエネルギー資源の採掘を強化する方針を示しました。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「原油は国際市況商品ということもあるので、アメリカのみならず国際価格も下がってくると、大半を輸入している日本にとっては原油価格が低下する恩恵を大きく受けられる」

 日本への具体的な言及はありませんが、トランプ大統領は外国からの輸入に対する関税強化もちらつかせています。

 宮城県にとってもアメリカは最大の輸出先で、輸出全体の4分の1ほどを占めています。

 田口さんは、日本を狙い撃ちにした関税引き上げは想定しづらいとしつつ、政策の不確実性が事業計画のリスクになると指摘します。

 関税引き上げや移民の強制送還、大規模な減税が実施されれば、アメリカの物価上昇につながって日米の金利差が縮まらず円安が進む可能性もあります。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「圧倒的に宮城県の中小企業は内需中心。エネルギーや原材料を海外から輸入している。食品の輸入コストも上がるということで、家計も非常に負担が重くなる。トータルで見れば宮城県経済にとって円安は依然としてマイナスが大きい」