新型コロナについてです。感染症法上の扱いの5類への引き下げまで2週間になりました。コロナとの付き合いも3年余り。宮城県は医療体制の整備を進めています。
まずは感染者数です。これまで全数を把握し、各都道府県が毎日発表していましたが、
5類では特定の医療機関にかかった患者数のみを把握する定点把握に変わります。発表は週1回に減ります。
次に死者数です。今後も全数を把握しますが、毎日発表していたものが、5類では死亡届を元に全国をまとめた月ごとの死者数がその2カ月後に発表されます。
東北医科薬科大学藤村茂教授(感染症学)
「これまで毎日の数字が発表されることによって、住んでいる地域で感染が広がっているかどうか、リアルタイムに感じ取ることができました。感染者数は週1回になることで、影響が出るかもしれません。治療費について、これまでは検査費用も含めて公費つまり税金で賄ってきましたが、この点が大きく変わります。ただ、高額な治療薬については、9月末までは公費で補助、入院費も高くなるため2万円を上限に補助します」
こうした公費での補助は高額な医療費の負担を緩和するためですが、国はいずれインフルエンザのように自己負担のある診療に変えていきたい考えです。
では同じ5類となるインフルエンザと新型コロナでは、どのような違いがあるのでしょうか。
まず症状です。インフルエンザでは、関節痛や頭痛、38度以上の急激な高熱などが現れます。
一方、新型コロナは、せきや頭痛のほか、37.5℃以上の軽い発熱が多く見られます。
次に感染力です。
東北医科薬科大学藤村茂教授(感染症学)「5類に引き下げられることで緩和ムードが広がり油断してしまうと、一気に広がる危険があります」
そして、後遺症の有無も大きな違いです。
インフルエンザは後遺症はありませんが、新型コロナでは倦怠感や脱毛が残る可能性があります。
気になる治療薬の違いです。インフルエンザでは、タミフルやリレンザなど複数種類が使われています。服用に当たって大きな制限は無く、汎用性は高いです。
一方、新型コロナの経口薬は3種類が使われています。
東北医科薬科大学藤村茂教授(感染症学)
「3種類のうち2種類は、高血圧の薬を飲んでいると飲めないなど制限があります。残りの1種類も、中等症から重症の患者では症状の緩和が出るが、軽症の患者の場合あまり効果が出ず、どの薬も難点を抱えています。インフルエンザの治療薬より値段が高く、患者の負担が大きくなっています」「5類に下がっても、新型コロナという病気の怖さが薄れたというわけではありません。その理由の一つに、治療薬がまだ十分に開発されていない状況が挙げられます。健康な若い人が感染しても軽い症状で治ることが多い現在のウイルスですが、高齢者や病気を抱えている人、妊婦さんなどリスクの高い人にとっては命取りになります。更にこれまでは発症から7日間は外出自粛が求められましたが、5類に引き下がると、5日間の外出自粛の推奨に変わります。行動制限が緩和されることでうつりやすさの条件が高まることになりますので、これまで習慣として身に着けてきた対策は続けてほしいと思います。特に窓を開けての換気は、学校や職場など多くの人が集まる場所で有効です」